リオ五輪、女子マラソンの日本代表選考はどうなる?
こちらの記事では、2016リオデジャネイロオリンピック、女子マラソンの日本代表の選考と候補メンバーについて書かせて頂きます。
※2016/08/13、下記のリンクを追加させて頂きました。
※リオ五輪女子マラソンのレース速報・結果については下記の記事に掲載させて頂きますので、こちらも是非ご覧下さい↓
【女子マラソン】リオオリンピック 福士・田中・伊藤の結果速報・順位・メダルまとめ - リオ五輪2016まであと〇〇日!
※リオ五輪マラソンの日本代表・日程・テレビ放送については、下記の記事にまとめさせて頂きましたので、こちらを是非ご覧下さい↓
福士加代子選手のリオ五輪出場がほぼ確実に
出典元:HOME | 第35回 大阪国際女子マラソン 公式ホームページ
2016年1月31日に行われた大阪国際女子マラソンにて、福士加代子選手(33)が25キロ付近から抜け出し独走。そのまま圧倒的な強さを見せ2時間22分17秒という素晴らしいタイムで優勝しました。
大阪国際女子マラソンは、リオデジャネイロオリンピックの日本代表選考も兼ねており、優勝した福士選手はリオ五輪への出場をほぼ当確のものとしています。
福士加代子選手について
福士選手といえば、その明るく奔放なキャラクターで昔から人気選手ですが、陸上が好きな方にはトラック長距離走のイメージが強いのではないでしょうか。
20代前半の頃から5000m、10000mでは常に国内トップクラスで居続け、世界陸上は2003年世界陸上パリ大会から4大会連続出場、オリンピックは2004年アテネ五輪から3大会連続出場を果たし、まさに日本陸上女子のトラック長距離走を引っ張る存在でした。
そんな福士選手がマラソンへの転向を初めて表明したのは、翌年に北京五輪を控える2007年です。突如マラソンで北京五輪を目指すことを発表し周囲を驚かせ、2008年1月の大阪国際女子マラソンにてマラソンデビューとなりました。
初マラソンとなる2008年の大阪国際女子マラソンはどうだったかというと、
前半ハイペースで首位を独走し一時は初マラソンにして初優勝も期待させる展開でした。しかし、30キロ付近でスタミナ切れによる急激なペースダウン。その後、後続の選手にどんどん追い抜かれ、リタイアは逃れたものの、フラフラになりながらそして何度も転倒しながら、2時間40分54秒というタイムでなんとか完走。
結果、初マラソン挑戦は19位での惨敗に終わりました。レース後の後半は意識朦朧であまり覚えてないという福士選手のコメントからも壮絶だったことがわかります。
とても明るく奔放なイメージの福士選手ですが、この時の結果がトラウマとなり、その後3年9カ月もの間フルマラソンから離れる要因となったのです。
普通の選手であれば、走る事から遠ざかるという考えに至っても仕方ないようなダメージのある敗退でしたが、福士選手は持ち前の精神力の強さで、その後同年6月の5000mと10000mの北京五輪選考レースに出場。なんと2種目で北京五輪代表に選ばれ、10000mでは日本人最上位となる11位という結果を残しました。
その後はトラック長距離走で2009年世界陸上ベルリン大会へ出場するなど、得意のトラック競技で以前のような活躍を続けていましたが、
2011年10月、シカゴマラソンでマラソンへ再挑戦することとなります。
そしてその結果は、マラソンで初の表彰台となる3位でした。きっと初めてマラソンでの確かな手応えを掴んだ瞬間であったでしょう。
シカゴマラソンで結果を残して、マラソンで再度五輪を目指し始めた福士選手が3度目のマラソンの舞台として選んだのは、まさに4年ごしのリベンジとなる2012年大阪国際女子マラソンでした。
結果はというと・・・また前回の悪夢を蘇させるような展開となってしまい、あえなく9位に終わりました。
この時、マラソンはやはりダメかと思った人も多くいたようです。
しかし、福士選手は再度立ち上がり、4年前と同じように、同年開催のロンドン五輪へ5000m、10000mで出場を果たしました。
福士選手の過去を振り返ってみると、まさに山あり谷ありの陸上人生であり、何度も不死鳥のように復活を遂げているという事がわかります。
福士選手は明るい性格から、順風満帆なイメージがありますが、実はそうではなく、強靭なメンタルと確固とした努力の裏付けがあるからこそ、あの明るい笑顔で笑っていられるのだと気づかされます。
ロンドン五輪後の福士選手は、ついにマラソンへの完全な適応を見せ、2013年再リベンジとなる大阪国際女子マラソンでトラウマを吹き飛ばす念願の優勝、そして、2013年世界陸上モスクワ大会でも銅メダルを獲得と、次々と素晴らしい成績を残します。
そしてそして、4回目の出場となる昨日の大阪国際女子マラソンも他を寄せ付けない独走で優勝。
優勝後のインタビューはあっけらかんとした様子に見えましたが、因縁のレースで素晴らしいタイムと内容での優勝、そしてマラソンでの五輪出場をほぼ手中に収めた昨日の勝利は、福士選手にとってきっとかつてない最高の勝利であった事が想像できます。
リオオリンピック女子マラソン日本代表の選考の行方は?
リオ五輪の女子マラソン日本代表の出場枠ですが、
3枠と定められています。
そのうち1枠は、2015年世界陸上北京大会で7位入賞した伊藤舞選手の内定が決定しています。
日本陸連の選考基準により、2015世界陸上での入賞はリオ五輪出場内定と定められていたからです。
そして、福士選手はリオ五輪出場ほぼ当確と書かせて頂きましたが、実はまだ完全に出場決定となったわけではありません。
残り2つの出場枠については、下記3つの選考レースの出場者から選出されます。
(1)さいたま国際マラソン(2015年11月開催)
(2)大阪国際女子マラソン
(3)名古屋ウィメンズマラソン(2016年3月開催予定)
それぞれのレースの日本人上位3着までの選手のうち、日本陸連の定める派遣設定記録(2時間22分30秒)を上回った選手から優先的に選ぶと定められています。
さいたま国際マラソンの上位日本人選手としては、吉田香織選手が2時間28分43秒で2位。渋井陽子選手が2時間31分6秒で4位でした。
そして、2016年3月13日の名古屋ウィメンズには、前回大会日本人最上位の3位の前田彩里選手や、ロンドン五輪代表で2013年世界陸上4位の木崎良子選手、2014年横浜国際優勝の田中智美選手、そして2004年アテネ五輪金メダルの野口みずき選手が出場の意向を示しています。
万が一、名古屋ウィメンズに出場する選手のうち2選手が福士選手のタイムを超えれば、福士選手はリオに出れないという可能性もあります。
しかし、福士選手の記録した2時間22分17秒という記録は、日本女子マラソン史上7位の記録であり、よほどの事がない限り超える選手は現れないでしょう。
優先的に選出するとされる派遣設定記録もクリアしており、福士選手はリオ五輪出場がほぼ当確、確実と表現されているのです。
下記が現在の女子マラソン日本歴代記録(上位10名)になります↓
歴代順位 | 選手名 | タイム | 大会名 |
---|---|---|---|
1位 | 野口みずき選手 | 2時間19分12秒 | ベルリンマラソン2005 |
2位 | 渋井陽子選手 | 2時間19分41秒 | ベルリンマラソン2004 |
3位 | 高橋尚子選手 | 2時間19分46秒 | ベルリンマラソン2001 |
4位 | 千葉真子選手 | 2時間21分45秒 | 大阪国際女子マラソン2003 |
5位 | 坂本直子選手 | 2時間21分51秒 | 大阪国際女子マラソン2003 |
6位 | 山口衛里選手 | 2時間22分12秒 | 東京国際女子マラソン1999 |
7位 | 福士加代子選手 | 2時間22分17秒 | 大阪国際女子マラソン2016 |
8位 | 土佐礼子選手 | 2時間22分46秒 | ロンドンマラソン2002 |
9位 | 前田彩里選手 | 2時間22分48秒 | 名古屋ウィメンズマラソン2015 |
10位 | 弘山晴美選手 | 2時間22分56秒 | 大阪国際女子マラソン2000 |
実は女子マラソンの日本記録を持っているのは、野口みずき選手であり、そのタイムはなんと2時間19分12秒という驚異的な記録ですが、野口選手はしばらく怪我に悩まされ、1月31日に開催された大阪ハーフマラソンでも6位と、ピークの状態から遠ざかっている印象は拭えません。
そして、名古屋ウィメンズに出場予定の選手で、次に良い記録を持っているのは、前田彩里選手ですが、そのタイムは2時間22分48秒であり、 日本陸連が設定した派遣設定記録がいかにハイレベルなタイムに設定されているかがわかります。
そのため、逆に名古屋ウィメンズの記録がふるわなかった場合は、さいたま国際で2位だった吉田香織選手(2時間28分43秒)や、大阪国際で福士選手に次ぐ2位に入った堀江美里選手(2時間28分20秒)にももしかしたらチャンスがあるかもしれません。
マラソン好きな人達の間では、世界陸上7位で内定した伊藤舞選手も含めて再選考をすればいいのではという声もあるようですが・・・
全ては3月13日開催の名古屋ウィメンズ次第であり、果たして野口選手の復活劇はあるのか、はたまた新しい選手の選出があるのか、あるいはあまり良い結果が出ずに終わるのか、名古屋ウィメンズは要チェックです。
また女子マラソンの情報が入りましたら、別途記載させて頂きます。
それでは、最後までお読み頂きましてありがとうございました!
リオ五輪開幕まであと186日です!