田中智美リオ五輪内定へ。敗れた小原怜は1万メートルへ出場か
こちらの記事では、リオデジャネイロオリンピック 女子マラソンに関連して、名古屋ウィメンズマラソン2016の結果と、田中智美選手、小原怜選手、そして野口みずき選手やその他の名古屋出場選手について書かせて頂きたいと思います。
※2016/08/13、下記のリンクを追加させて頂きました。
※リオ五輪女子マラソンのレース速報・結果については下記の記事に掲載させて頂きますので、こちらも是非ご覧下さい↓
【女子マラソン】リオオリンピック 福士・田中・伊藤の結果速報・順位・メダルまとめ - リオ五輪2016まであと〇〇日!
※リオ五輪マラソンの日本代表・日程・テレビ放送については、下記の記事にまとめさせて頂きましたので、こちらを是非ご覧下さい↓
名古屋ウィメンズマラソン2016の結果を振り返って
昨日開催された「名古屋ウィメンズマラソン2016」はいろいろなドラマの詰まった本当に素晴らしいレースでしたね。
以前の記事では、名古屋ウィメンズの注目選手について取上げさせて頂きましたが、
結果として、男子のびわ湖毎日マラソンと同じように、日本人選手同士のデッドヒートが見られた素晴らしいレースとなりました。
やはりオリンピック代表選考がかかった最後のレースは、男女ともに、選手の熱い想いが伝わる白熱したレース展開になりましたね。
それぞれの選手が、リオ出場のためにトレーニングを積み重ねてきて、名古屋での2時間半にその全てが凝縮されていると考えると一層感動させられました。
名古屋ウィメンズの日本人上位選手と有力とされた選手の結果は下記になります。
順位 | 選手名 | タイム | 年齢、所属 |
---|---|---|---|
2位 | 田中 智美選手 | 2時間23分19秒 | 28歳、第一生命 |
3位 | 小原 怜選手 | 2時間23分20秒 | 25歳、天満屋 |
4位 | 清田 真央選手 | 2時間24分32秒 | 22歳、スズキ浜松AC |
5位 | 岩出 玲亜選手 | 2時間24分38秒 | 21歳、ノーリツ |
6位 | 桑原 彩選手 | 2時間25分09秒 | 23歳、積水化学 |
7位 | 竹地 志帆選手 | 2時間25分29秒 | 25歳、ヤマダ電機 |
9位 | 沼田 未知選手 | 2時間27分27秒 | 26歳、豊田自動織機 |
10位 | 木崎 良子選手 | 2時間28分49秒 | 30歳、ダイハツ |
11位 | 加藤 麻美選手 | 2時間29分33秒 | 25歳、パナソニック |
16位 | 早川 英里選手 | 2時間31分47秒 | 34歳、TOTO |
23位 | 野口 みずき選手 | 2時間33分54秒 | 37歳、シスメックス |
先頭集団は20キロを過ぎても10名以上いましたが、ペースメイカーがいなくなった30キロ過ぎに、レースが大きく動きました。
バーレーンのキルワ選手がスパートをかけて一気に後続の選手を突き放しにかかる展開に。そして、唯一キルワ選手についていったのが田中選手でした。
しかし、キルワ選手のスピードに少しずつ遅れをとる田中選手。そこに小原選手がじわじわと詰め寄り、37キロ過ぎには田中選手をとらえました。
一時は小原選手が抜け出るかと思われましたが、やはり田中選手は昨年の落選の雪辱の思いと、リオへかける思いがそのまま走りに出ていた気がします。
振りきられることなく小原選手と並走を続けると、ナゴヤドームの外周残り200メートルに入ってから一気にスパート。田中選手は最短距離を走り小原選手を少しも前に行かせずそのまま先着となる2位でゴール。そして小原選手は僅か1秒の差で3位でゴールしました。
田中選手は嬉し涙を流しながら山下監督と喜びを分かち合い、反対に小原選手は顔を覆いながらぐったりと地面に倒れる結末となりましたが、改めて勝負の世界の厳しさを感じさせるものでありました。
田中智美選手、小原怜選手、その他の出場選手の今後について
田中智美選手は、レース後のインタビューでも「(世界陸上へと)行けなかった事はショックでした」と語ってましたが、昨年の悔しさを見事にバネに変えて今年のリオ選考へ活かしたと言えるでしょう。デッドヒートを制した田中選手には、リオ本番でも外国人選手との死闘をモノにできる強さが感じられ、今回間違いなく代表に選出されると思われます。
昨年の落選から、今回の勝利へ大きく返り咲いた裏には、山下監督との二人三脚の厳しい特訓があったようです。リオ本番へ向けてもまたハードなトレーニングに入ると思われますが、きっと更にその強さをレベルアップしてくれることでしょう。
今回はキルワ選手に離されてしまいましたが、リオではキルワ選手に是非リベンジを果たしてもらいたいですね。
次に小原怜選手ですが、自身にとっても恐らく過去に無いほどの悔しい結果となってしまいましたが、レース後のインタビューのコメントは素晴らしいものでした。
「自分の力が足りなかった。勝負の世界なので1番以外は違うというのはわかっている」と潔く負けを認め、さらに「私には1万メートルも残っているので、最高のスタッフと取り組んでいきたい」と前向きな発言を残しています。
とても正々堂々としたスポーツマンの鑑ともいうべき発言ですよね。
小原選手はまだ25歳であり、今回がフルマラソンデビューということで、今後の成長を考えると将来が物凄く楽しみです。
1万メートルでのリオ出場を目指すということで、6月の日本選手権では、きっと小原選手の良いニュースを聞くことができるのではないでしょうか。
そして、今回の4位~6位を注目すると、22歳の清田真央選手、21歳の岩出玲亜選手、23歳の桑原彩選手と、田中選手小原選手のデッドヒートの影には、若手選手が活躍を見せていたことに気付きます。岩出選手は既に注目されている若手のホープですが、清田選手と桑原選手は今回初マラソンであり、次世代の期待の選手がたくさん現れた事は、日本のマラソン界にとって今回もしかすると一番喜ぶべきニュースであったかもしれません。
小原選手もそうですが、間違いなくこの世代が東京オリンピックの時には中心となっていることでしょう。今後要注目です。
もしかすると、清田選手や桑原選手はトラック競技でのリオを目指す可能性もあり、やはり小原選手とともに日本選手権の注目の存在になるかもしれないですね。
最後に、野口みずき選手について書かせて頂きますが、今回5キロ過ぎで先頭集団から遅れた時には、失礼ながら世界陸上モスクワ大会のようにリタイヤとなってしまうのではと考えてしまいました。
しかし、見事完走し、2時間33分54秒という素晴らしいタイムでのゴール。
レース後のインタビューでは「最後30キロからは声援がすごくて花道のようで、笑顔でゴールする事ができました」とすがすがしい表情で語った野口選手。
昨日のレースは、ずっと怪我に悩まされた野口選手が、やっとコンディションを取り戻し、今の野口選手の全てを出せた、まさに完全燃焼できたレースだったのではないでしょうか。
野口選手のこれまでの苦悩を考えると感動せずにいられませんでした。
きっと、今回のレースで引退となってしまうと思われますが、どうやら野口選手は指導者ではなく、陸上の魅力を伝える仕事に興味を持っているという事です。
もしかしたら、今後は高橋尚子さんのようにキャスターなどをする野口選手が見られるかもしれないですね。
マラソンの選手には、それぞれドラマがあって、そういった背景を知るとまたマラソンが面白くなって、ハマっていきますよね。
上述の選手たちはきっとこれからもドラマをいろいろと生み出してくれることでしょう。
そして、3月17日にはマラソンのリオ代表選手が発表されるという事で、まずはそちらに注目ですね。
それでは、最後までお読み頂きまして、ありがとうございました!
リオ五輪開幕まであと144日です!